【総括】響け!ユーフォニアム2をサウンドトラックで振り返る
「響け!ユーフォニアム2をサウンドトラックで振り返る-劇伴音楽使用シーンまとめ」と題して書いてきた記事群について、総括として書き留めておきます。
記事の概要
テレビアニメ「響け!ユーフォニアム2」の中で、劇伴音楽の使われたシーンを中心にピックアップしてストーリーの振り返り感想を書くという記事を、全8回に分けて書きました。
各話数ごとに、劇伴の使われたシーンと曲の対応表を作成しました。
純粋にシーンの感想を書いたり、面白かった演出を振り返ったり、選曲について考察したり、曲そのものについて感想を書いたりと、終わってみれば取り留め無い記事になってしまった気もします(笑)
劇伴音楽に着目し、BGMの使われていないシーンは触れない事も多かった為、網羅的に触れられてない部分も多く「あの重要なシーンが無い!」などはあるかもしれませんのでご承知ください。
各記事へのリンク
各記事へのリンクまとめです。
第1話
第2話、第3話
第4話、第5話
第6話、第7話
第8話
第9話、第10話
第11話、第12話
第13話
総括
1~13話通した時に特筆すべき点をいくつか記しておきたいと思います。
[トラック番号の表記法について]
曲番号は、 TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』オリジナルサウンドトラック「おんがくエンドレス」に準拠し、
(ディスク番号)_(トラック番号)
を意味します。
例えば"1_5"なら、「おんがくエンドレス」のディスク1の5曲目を指します。
[注]Ⅰ_1_28のようにローマ数字のⅠがついた番号は、響け!ユーフォニアム第1期のサウンドトラック「おもいでミュージック」からの使用曲となっています。
1期と2期のサウンドトラックの使い分け
演奏シーンをメインに据えた話か否かによって、第1期と第2期の劇伴音楽を切り替えてメリハリがつけられていました。
第6,7話の記事などで触れましたので、詳しくは割愛します。
2年生編と3年生編の区分け
輪郭のぼやけたシンセサイザー音を含む曲を用いて、2年生編(希美・みぞれの話)と3年生編(あすかの話)の区分けが成されていました。
サウンドトラック「おんがくエンドレス」Disc1に収録された劇伴音楽のうち、このような"もやもやした"シンセ音が活躍する曲は、*1
1_9 静謐なる心
1_20 陰る心
1_21 落ちきった心情
の3曲ですが、これらは全て第1話~第4話の間だけに限定して使われており、それ以降の話数では一切使われていません。
希美・みぞれの話とそれ以降のあすかの話(原作で言えば、2巻と3巻)の雰囲気の違いを、このような音の有無によって聴覚的に色分けしているとみられます。
効果音もわりと無視できない
登場人物の気持ちや場の空気感は、時に効果音にのせられてうまく表現される事もあることを、振り返る中で実感しました。
例えば第8話の記事で触れたように、麻美子によって開けられるドアの音にその時の心情が反映されているように聞こえます。
第9話の下校シーンでの、スズメのさえずりとカラスの鳴き声の対比なども、BGMのオンオフと相まって場面の雰囲気の変化を出すのに一役買っている気がします。
劇伴音楽ばかり注目して書いてきましたが、効果音の重要さも案外ばかにならないことを学びました。
劇伴が鳴ってなくても重要なシーンはたくさんある
これは当たり前なんですけどね…(笑)
BGMの使われたシーンだけを追っていくと、ある程度はダイジェストが追えるようにはなっていますが、しかしそれだけでは大事なシーンを取り落としてしまう事が多々有ります。
むしろ、音楽を消す事で雰囲気を作るというシーンもありますしね。
そういう点については、今回の振り返りでは拾いきれなかった所もあると思います。
散りばめられた「響け!ユーフォニアム」の旋律
劇中にまんべんなく「響け!ユーフォニアム」の旋律が散りばめられていました。
1_26 響け!ユーフォニアム(Last Ver.)
2_10 響け!ユーフォニアム(朝もや Ver.)
1_16 響け!ユーフォニアム(久美子と二人きり Ver.)
など直接ユーフォニアムの演奏がある場面はもちろんですが、
1_2 新たな始まり
Ⅰ_1_28 重なる心
など、「響け!ユーフォニアム」の旋律が含まれる劇伴音楽も何回も使われており、以上5曲のいずれかが使われた話数は全部で7回と(1,3,4,9,10,12,13話)、全話数の実に半分を占めます。
このように見ると、このメロディーが、あすかの物語という軸を全話に渡って支え続けた大切なモチーフであることが感じられます。
総使用回数集計結果
第2期のディスク1から、OPとEDと吹奏楽曲を除いた、いわゆる劇伴音楽の総使用回数をまとめました。
使用回数の多い曲
栄えある(?)第1位は、
平穏なる日々 - 使用回数8回
そして、同率2位が
背中を押すもの、郷愁から芽吹くもの - 使用回数7回
でした。
ほとんどの話数で、これらのどれかの曲を聴いていたことになりますね。
この3曲はいずれもピアノと弦楽器のみで編成されていて、テンポもゆったりとしたもので、その純朴なメロディーには安心感があります。
いい意味で"空気のような"BGMで、多く使われていたのも納得です。
久美子達の吹く管楽器の音(特にユーフォニアム)が物語の中で際立つよう、全編に渡ってピアノと弦による真っ白なキャンパスを用意してくれているかのようです。
使用されなかった曲
本編未使用だけれどサントラに収録されている曲もあるようで、
謳歌する若者、必然という冷酷 - 使用回数0回
がそうでした。
確かに本編中聴かなかったような…
使用回数が少なかった曲
1箇所しか使用されなかった曲が全部で4つあり、
静謐なる心、戸惑い泳ぐ、人生の蹉跌、重なる経験 - 使用回数1回
「静謐なる心」は、第4話の希美とみぞれの対話シーン。
「戸惑い泳ぐ」は、第1話で低音の練習教室に希美が現れあすかに頭をさげるシーン。
「人生の蹉跌」は、第8話で麻美子と父がやり取りするシーン。
「重なる経験」は、第6話で、あすかの組の学園祭の出し物に久美子が訪れたシーンです。
特に「静謐なる心」はまさにあのシーンのために存在するような曲だと、個人的には思えてしまいます。
4曲全て、該当話数の記事にて取り上げていますので、詳しくはそちらをご覧ください。
おまけ - 劇伴音楽の密度について調べてみた
劇伴音楽の密度が各話ごとにどうなってるか調べたのですが、大した事は分からなかったのでおまけとして載せておきます。
そもそも劇伴音楽の密度ってなんだよ!?
とまずなると思います。これは私が勝手に
劇伴音楽密度 =(劇伴音楽の使用されていた時間) / (本編の時間)
という割り算をした数値をそう命名しただけです。
ここで「本編の時間」とは、アニメが始まってから終わるまでの時間のうち、OPとEDの時間を除いた時間の事です。
劇伴音楽の使用されていた時間は、各記事で調べたストーリー-サウンドトラック対応表を使って集計しました。
要は、本編のうちどれくらいの割合劇伴が使われているかの指標です。
例えば「劇伴音楽密度=0.5」だったら、本編時間の50%、つまり劇中の半分は劇伴音楽が流れている計算になります。
これを調べた結果が以下になります。(エクセルで書いただけ)
各話数(1~13)について、縦軸に劇伴音楽密度の数値を取って作った折れ線グラフです。
一番密度が高いのは最終回で、0.75なので本編の3/4は劇伴が使われていたことになります。
次に第5話が密度が高く、本編の70%は劇伴が使われていました。
平均的には50~60%なのを見ると、これらの回は大きいと思われます。
ただ、これは結構当たり前の結果で、
演奏シーンが長かったらそりゃ密度も大きくなるだろ!
というだけの事です。
5話は関西大会の三日月の舞fullがありますし、最終話は卒部会の演奏シーンがありますからね。
じゃあ「演奏シーン以外の部分について密度を計算し直したらどうか?」と思い、今度は
[ (劇伴音楽の使用されていた時間) - (演奏シーンの時間) ] / [ (本編の時間) - (演奏シーンの時間) ]
と、演奏シーンの部分を引いて密度を見てみました。
ここで「演奏シーンの時間」とは、サントラ『おんがくエンドレス』のDisc2に収録されている吹奏楽曲が流れている間の時間の総計です。
同様にグラフを作ってみると、
だいたい53%前後という所でしょう。
ただ、依然として最終話だけは少し他より劇伴音楽の割合が大きいのは、少し特徴的かもしれません。
ということで、せっかく作ったので載せてみよう程度のおまけでした。
劇場版との比較とかやったら面白そうだと思いました。多分劇場版の方が密度は低い気がするんですが。
おわりに
ということでユーフォのテレビシリーズ2期について劇伴音楽について振り返ってきました。
読んでいただいた皆さん、ありがとうございました。
正直、第1期の方も同様の調査をしたい気持ちになってます。
また、最初の記事で劇場版との比較もやりたいみたいな事をいっていましたが、まだそこには及ばず…という感じになってしまいました。劇場版のBD購入したら腰を据えてやろうかなと思います。
それではこのあたりで。
『響け!ユーフォニアム2』オリジナルサウンドトラック「おんがくエンドレス」
- アーティスト: 松田彬人,北宇治高校吹奏楽部
- 出版社/メーカー: ランティス
- 発売日: 2017/01/11
- メディア: CD
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*1:"もやもやした音"の定義はかなり主観によるところがありますが、これらの3曲を聴いていただければなんとなく言いたいことは伝わるかと…