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響け!ユーフォニアム2 第13話をサウンドトラックで振り返る-劇伴音楽使用シーンまとめ

テレビアニメ響け!ユーフォニアム2 本編において、
どういうシーンでどのBGMが使われたのか?
を各話ごとに整理し、それに沿って各シーンや曲を振り返るシリーズ記事です。


今回は第13話を振り返ります。
前回(第11話、第12話)はこちらからどうぞ。


ついに最終回ですね。

第13話 ストーリー-サウンドトラック収録曲対応表

今回は第13話「はるさきエピローグ」です。劇伴使用シーンのまとめは以下の画像のようになりました。

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※鳴り始め・鳴り終わりは、各話開始時点から測った時間です。

曲番号は、 TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』オリジナルサウンドトラック「おんがくエンドレス」に準拠し、
(ディスク番号)_(トラック番号)
を意味します。 例えば"1_5"なら、「おんがくエンドレス」のディスク1の5曲目を指します。
[注]Ⅰ_1_28のようにローマ数字のⅠがついた番号は、響け!ユーフォニアム第1期のサウンドトラック「おもいでミュージック」からの使用曲となっています。



第13話は最終回。卒業までの日々や、卒部会での演奏シーン、あすかとの別れなど、エピローグとはいえ盛りだくさんです。

第13話

次期部長・副部長選出と「微かな光」

部長と副部長を選出するシーンでは、「微かな光」が流れました。

微かな光

微かな光

すごい今更ですけど、この曲もろびとこぞりての出だしに似てるな〜ってずっと思ってました。全然関係ないですが。


吉川優子部長と中川夏紀副部長。凸凹コンビだけど、凸凹だからこそ互いを補ってやっていけそうな気も……
と言ってるそばからじゃれあう小競り合いを始める二人。

果たしてどう2人が頑張ってくかは……小説の第二楽章へ続く、ですね。

優子の顔芸(?)カットは珍しく崩した感じの絵で、正直好きです。

あすか・葵と話す久美子と「運命の流れ」

橋の上であすかや葵と久美子が話すシーンでは「運命の流れ」が使われました。

運命の流れ

運命の流れ

宇治川を背景にこの曲が流れているだけで、魅力的な物語の舞台がポンと用意できてしまうような、そんな印象があります。
個人的には、響け!ユーフォニアムのアニメシリーズの中で一二を争う印象的な劇伴音楽です。
もしユーフォのサントラ持ってない人も、この曲単体でも買って聴いて宇治を感じてほしい!などと思ってます。


久しぶりにあすかに会うも、あっさりとバイバイされてしまうシーン。

「何もない」という事は、このアニメではネガティブな事として捉えられる事が多いですね。
みぞれに声をかけずに辞めた希美しかり、麗奈に滝の事を黙っていた久美子の件しかり。


久美子のもやもやもこの「何もなさ」から来ているのでしょう。そしてその解消は、ラストシーンまでおあずけとなります。

1,2年生メンバーによる「三日月の舞(short)」

3年生を送り出すために1,2年生メンバーだけで三日月の舞を演奏します。
まさに、「1年間のまとめ」というようなシーンですね。

三日月の舞(short)

三日月の舞(short)

  • 北宇治高校吹奏楽部 1年&2年メンバー
  • アニメ
  • ¥250

1,2年生が立派に成長した姿を3年生に見せて送り出し、これからは自分達で部を作っていくんだと決意を示す最後の三日月の舞。
3年生が安心して旅立っていけるよう、自分たちの堂々とした姿を見てもらおうと、そんな意気込みに満ちていそうです。

特に葉月が堂々と演奏に参加していて、成長したなあ…と。


全国を目指す中では様々な出来事が起こり、それは曲とともに各人の心に刻まれていました。

麗奈のソロを聴いてつい指を動かしてしまう香織は、京都大会前のオーディションの事を思い出すのでしょうか。そして、吉川優子も、あの一件を通して大きく成長した一人です。
みぞれのソロを今は指揮者として聞き届ける希美は、みぞれとのすれ違いに一旦の決着を付け、無事部に復帰することができました。
そして久美子のソロを見つめるあすかと久美子本人の間には、他の誰も知らない心のやり取りがありました。


3年生のパートの抜けた三日月の舞を聴くと、いつもと聞こえ方が違う部分がいくつか目立ち、嫌でも3年生の喪失を感じてしまいます。

中間部のファゴットの喜多村さんのソロがサックスになってたり、
後半で雑賀さんのピッコロが聞こえなくなってたりすると、
もうコンクールの時のあの演奏は再現できないのだという事が、まざまざと理解できてしまいます。

寂しいようで、でも、一回きりだったこの一年間の価値を、言葉ではなく演奏の音を通して改めて感じさせてくれるシーンだと思います。


そんな中にも脳裏によぎっていく数々の回想・想い出。

曲後半に入ってクライマックスに向かうにつれ、回想はサンフェスからだんだんと時系列を遡り、すべての始まりだった”目標決め”のシーンへ。
あの時に今の自分達を想像できた部員は果たして何人いたでしょうか。

色々なものが詰まった演奏でした。
そして演奏が終わるとやっぱり泣いてる部長。香織も微妙に涙ぐんでいるのがいいです。

あすかを探し駆け回る久美子と「はじまりの旋律」

卒業式の後、久美子があすかを探して駆け回るシーンでは、「はじまりの旋律」が使われました。

はじまりの旋律

はじまりの旋律

それぞれの部員一人一人にある物語の断片が、駆け抜ける久美子と交互に映し出されます。

やはり私はこの”一人一人のもつ異なる物語”をないがしろにしない点にこのアニメの良さを感じてしまいます。
特に他の部活に比べても吹奏楽部って人数も多いし、そこが”モブ”と一緒くたにされなかったのが本当に嬉しいです。

こういう土台があるからこそ、一人一人の想いが交錯したりぶつかり合ったりする様を描く作品として成り立つのだと思っています。

この13話でも、メインじゃない部員達のフォローアップをしてくれる所にスタッフの愛を感じます。


特に私が好きなのは、フルートパートの三原京子さんが滝先生にお礼を言っているカットです。
三原さんというと、1期第4話のフルートパート練習で、滝に厳しく言われたことで泣いてしまっていた彼女です。
そんな彼女が滝に向かって笑顔でありがとうございますと言っているのを見ると……三原さんの”物語”の断片を想像できそうです。

すでに多くの方が指摘されているとは思いますが、このフルートパート3人(雑賀さん、姫神さん、三原さん)の立ち位置が、上で触れた1期第4話のパート練習のシーンと同じ構図なんですよね。
あのシーンの3人の苦々しい表情を思い出し、今の彼女らの笑顔と比べると、ものすごい感慨を感じます。


他の人達だって、久美子や麗奈といったメインキャラ達にも負けないくらい、濃い想い出と物語を持っているんだろうなあと、想像していまいます。

そして一方久美子があすかを探したどり着いたのは、1年前の4月、あすかと初めて出会ったあの階段でした。

あすかとの会話と別れ、「新たな始まり」

久美子があすかに気持ちを伝えて、しばしの別れを告げるシーンでは「新たな始まり」が使われました。

新たな始まり

新たな始まり

ついに、第1話のプロローグで提示されていたシーンがやってきます。

第1話の時点では、我々視聴者は「新たな始まり」の曲のメロディーラインの持つ意味合いを理解できませんでした。そしてあの雪の降るプロローグが久美子とあすかの別れのシーンだと分かる人は(原作既読者を除いて)少なかったはずです。

けれど今や誰もが、この「新たな始まり」のメロディーが「響け!ユーフォニアム」の物であることを理解でき、そしてその曲があすかと久美子それぞれにとってどのような意味を持つのかを感じ取る事ができ、久美子とあすかのシーンにぴったりだと納得できるんですよね。

最終回にしてやっと、綺麗に回収されたシーンでした。


「もしかして恋の相談?」という、これまで度々あすかが茶化すように使ってきた質問を、最後の最後で久美子が肯定するという、こちらも見事な”回収”は、すごく心に残りました。
こういう、度々使われたコメディータッチなセリフが最後に少し意味合いを変えて登場する、っていうのがすごい好きなんです。


「先輩の事、苦手でした」から切り出すのは”久美子らしいね”といった感じ。
でも久美子が本当に伝えたいのは、今はあすかの事が大好きだという素朴で単純なむき出しの気持ち。

そして受け継がれるノート。ノートだけでなく、久美子が好きだったあすかそのものを、手渡されたような感じがします。


そしてそんな久美子を呼び戻し、次の物語へと連れていくのは麗奈でした。


このあとの特殊EDも含め、心地よく余韻に浸ることのできる優しい幕引きでした。
ここまで来るとあまり言葉もいりませんね。




ということで、テレビアニメ「響け!ユーフォニアム2」を全8記事に渡ってサウンドトラックに沿って振り返ってきました。
お付き合いいただいた方は、本当にありがとうございました。

おそらく最後に、1~13話の総括の文章を短めに書くと思います。