響け!ユーフォニアム2 第1話をサウンドトラックで振り返る-劇伴音楽使用シーンまとめ
TV版響け!ユーフォニアム2本編でのサウンドトラック(劇伴音楽)の使用シーンについて、何回かに渡ってまとめていこうと思います。
どういうシーンでどのBGMがなったのか?
を各話ごとに整理していこうという記事です。
曲をまとめながら、各シーンを振り返ったり、選曲の仕方について考えたりしていこうと思います。
この記事では、第1話を振り返ります。
次回、第2話,第3話の振り返りはこちらの記事からどうぞ。
- 第1話「まなつのファンファーレ」ストーリー-サウンドトラック収録曲対応表
- プロローグと「新たな始まり」
- 希美の登場と「戸惑い泳ぐ」
- 「落ちきった心情」「陰る心」のシンセ音
- なんでもない高校生活とBGM
- 花火を見る麗奈と久美子、「特別とは何なのだろう」
- 新規登場人物とBGM
- さいごに
第1話「まなつのファンファーレ」ストーリー-サウンドトラック収録曲対応表
今回は第1話「まなつのファンファーレ」についてです。劇伴使用シーンのまとめは以下の画像のようになりました。
[説明]
鳴り始め・鳴り終わりは、各話開始時点から測った時間です。
曲番号は、 TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』オリジナルサウンドトラック「おんがくエンドレス」に準拠し、
(ディスク番号)_(トラック番号)
を意味します。
例えば"1_5"なら、「おんがくエンドレス」のディスク1の5曲目を指します。
初回は1時間スペシャルでしたから、BGMの数もかなり豊富に使われていますね。
それでは、ここからいくつかのシーンを振り返っていきます。
プロローグと「新たな始まり」
一番最初の「新たな始まり」は、テレビシリーズ第2期の主眼である、「あすかと久美子の物語」のキーとなる音楽「響け!ユーフォニアム」のアレンジです。
当時リアルタイムでこの第1話を見ていた私たちにとってはこの曲が流れることの意味が何なのかは分からなかったはずです。
しかし、全話見終わった今の我々には何を象徴する曲なのか理解ができます。
そういった意味でも、このシーンでこの曲が流れる事自体が伏線となっていたのですね。しかし、しばらくは希美とみぞれの物語ですから、あすか先輩の山場はまだまだ後になります。
希美の登場と「戸惑い泳ぐ」
夏紀が希美を連れてきて、希美があすかに頭を下げ「復帰させてください」と懇願するシーンでは、「戸惑い泳ぐ」が流れました。
直前まで「恋の相談?」などと茶化していたあすかの雰囲気も一変し、シリアスムードに。
「戸惑い泳ぐ」が流れると同時に、カメラアングルも夏紀とあすかを真横から写すものにガラッと変化し、二人の間の”距離”が一気に開いたような気になります。
上級生と下級生。部内の者と退部した部外者の存在。その線引きが一気に表れるようなシーンです。
一瞬にしてパート練習の部屋に暗雲が立ち込める様子が、音楽によってより印象的になっている気がします。
「落ちきった心情」「陰る心」のシンセ音
希美が現れたことによって、1年生の久美子たち4人は、南中出身の2年生達のこと、去年何があったのかについて悶々と考えを巡らせることになります。
こういったシーンでは、少しもやもやしたような、輪郭のはっきりしないシンセの音主体の曲が使われていました。「落ちきった心情」「陰る心」が今回それに該当しました。
久美子達の中にあるもやもやした気持ちを表現するような曲です。
響け!ユーフォニアムのサントラでの松田彬人さんの曲は、ピアノや弦楽器のメロディー主体の曲が大半を占めています。なのでこういったシンセ音主体の曲が出てくると、結構目立つような気がします。
もしかすると、こういう「何かやりきれない事に思いをはせるシーン」にシンセ音主体の曲を使うなどという傾向があるかもしれないな、などと思いました。(まだ1話しか検討していないので、分かりませんが。)
なんでもない高校生活とBGM
久美子と麗奈がなんでもない日常を過ごすシーンが、印象的にBGMで彩られていました。「吹き抜ける風のように」「平穏なる日々」などが今回該当します。
麗奈が朝早く練習に行っていることを聞き、ちゃっかり翌日から一緒に登校する久美子は微笑ましいです。
麗奈と朝の登校のシーンは特に何か重要な事が起こったり考えたりするシーンではありませんでした。こういった「なんでもない高校生活の1ページ」を大切にBGMで彩るのも、響け!のアニメだなあという気がしました。
麗奈と久美子がお祭りを見て回る場面では「郷愁から芽吹くもの」が使われていました。
お祭りのために神社で待ち合わせをするシーンは、1期8話を思い出します。1期では、階段の上で待つ麗奈に久美子が階段を上って会いに行くという構図でしたが、2期では麗奈の方から階段を降りて下にいる久美子に歩み寄ってきます。
自ら集団の中に身を投じながらもその中で特別であろうとするという、姿勢の変化が階段を降りるシーンに表れているようです。麗奈のとった道は、ただ孤高であるよりももっと険しい道かもしれません。しかし、あえてその険しさを受け入れて特別な頂点を目指すのが麗奈らしさだと思います。
その後久美子と麗奈がお祭りを回るシーンもなんでもないシーンですが、「郷愁から芽吹くもの」が印象的に流れて青春の1ページを作っていました。
花火を見る麗奈と久美子、「特別とは何なのだろう」
橋の下に腰掛けながら、麗奈と久美子が花火を見上げます。
希美のこと、特別になるということ、色々な事を語りながら、花火を見上げる瞬間が描かれていました。流れているBGMも「特別とは何なのだろう」です。
「いつかは友達とも離れ離れになってしまう」「いまという瞬間を冷凍保存できればよいのに」など、今この瞬間が過去になってしまうことへの不安を久美子が感じるシーン。久美子、詩人だなあ……、いや、その気持ちわかります。
原作小説では、この不安はより尖った強いものとして書かれていました。「友情は永遠ではない」という、もっと生々しい表現でもって現在が過去になることへの恐怖が表現されていました。
今は当たり前に過ごせる瞬間も、何年か経って思い出せばもう二度とは無い瞬間なのだと。それは友達と花火大会に行く事だってそうかもしれないし、友達とただ朝一緒に登校する事ですらそうかもしれない。上で述べたように、「なんでもない高校生活の1ページ」を大切にしているのも、こういうメッセージを汲んでのことかもしれないです。
新規登場人物とBGM
全体を通してひとつ意外に思ったのが、人物紹介のために使われるBGMが無いということです。
この第1話では、鎧塚みぞれ、傘木希美、橋本真博と、3人の新規登場人物が出てきます。
新しい登場人物が出て来れば、音楽でもってその人物の印象づけをするという使い方がよくあると思いますが、響け!ユーフォニアム2ではこの3人の初登場シーンは音楽は無しでした。
代わりに、じっくりと新規登場人物の声が聞こえるようなシーンになっていたように思います。
さいごに
この間、「響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディー〜」を視聴してきたこともあって久しぶりにアニメ版を見返そうとしたのですが、せっかくなので何かテーマを持って1周みることにしようと思い、このように劇伴音楽の使用シーンをまとめてみる事を思いつきました。
先日の劇場版の感想記事でも少々劇伴音楽の使われかたについて雑感を書きましたが、TVシリーズとなると、どういう場面で音楽が当てられるのかがまた変わって来ると思うので、そのあたり最終的に劇場版との比較などを考えられたら面白いかなあと思っています。
次回に続く。 -> 第2話、第3話はこちらから
TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』オリジナルサウンドトラック「おんがくエンドレス」
- アーティスト: 松田彬人,北宇治高校吹奏楽部
- 出版社/メーカー: ランティス
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