響け!ユーフォニアム2 第8話をサウンドトラックで振り返る-劇伴音楽使用シーンまとめ
テレビアニメ響け!ユーフォニアム2 本編において、
どういうシーンでどのBGMが使われたのか?
を各話ごとに整理し、それに沿って各シーンや曲を振り返るシリーズ記事です。
今回は第8話を振り返ります。
前回(第6話、第7話)はこちらからどうぞ。
次回(第9話、第10話)はこちらからどうぞ。
これまでは2話ずつセットで振り返っていましたが、第9話と第10話について、同じ記事内でまとめて書きたい内容があるため、今回は第8話のみとしました。
詳しくは次回。
第8話 ストーリー-サウンドトラック収録曲対応表
今回は第8話「かぜひきラプソディー」です。劇伴使用シーンのまとめは以下の画像のようになりました。
※鳴り始め・鳴り終わりは、各話開始時点から測った時間です。
曲番号は、 TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』オリジナルサウンドトラック「おんがくエンドレス」に準拠し、
(ディスク番号)_(トラック番号)
を意味します。
例えば"1_5"なら、「おんがくエンドレス」のディスク1の5曲目を指します。
[注]Ⅰ_1_28のようにローマ数字のⅠがついた番号は、響け!ユーフォニアム第1期のサウンドトラック「おもいでミュージック」からの使用曲となっています。
第8話では、主に久美子と麻美子のエピソードが回想シーンも含めて掘り下げられていきます。
第8話
麻美子の演奏との出会いと「平穏なる日々」「アメリカンパトロール」
久美子が麻美子の演奏を初めて聞きにいった時の回想では、「平穏なる日々」と「アメリカンパトロール」が使われました。
これが久美子の、楽器を吹く姉の姿との初対面、そして麻美子への憧れの始まりだったのでしょうね。
「アメリカンパトロール」冒頭のジャーン!という音と演奏する麻美子の姿が、久美子の耳と目に同時に飛び込んでくるシーンです。
この瞬間からずっと、久美子にとって楽器と麻美子は表裏一体の存在であったことが伝わってきます。
その直前のシーンでピアノ主体の「平穏なる日々」が使われていることで、その後のブラスバンド(管楽器)の「アメリカンパトロール」の音が映える気がします。
響け!ユーフォニアムという作品において劇伴音楽が管楽器をほとんど使わずに作られているのは、例えばこういうシーンでも効果を発揮していると思います。
麻美子の気持ちと「人生の蹉跌」
麻美子と父の対話のシーンから、翌朝の久美子の回想までは「人生の蹉跌」が使われています。このシーンが初出です。
父親の
「リスクをしょわずにやりたいことができると思うな」
というセリフは、麻美子、そしてあすかの物語全体に通じるとても重要な主張だと思います。
人生の選択にはリスクがつきものですが、それを背負う勇気が昔の麻美子には足りなかったのでしょう。
そして麻美子が楽器をやめる時の回想。
麻美子は、親に従って勉強に専念するか楽器を続けるかという、中学生にはあまりに重い決断を迫られ、結局楽器をやめる事を選択しました。
そんな姉と、純粋に「姉と一緒に吹きたい」という気持ちだけを持つ妹では、背負ってるものが違いすぎますね。
麻美子の乱暴に教科書を叩きつける音が、なんとも心に刺さる痛い音です。
橋本の指導と風邪気味の久美子、「そこに兆しは存在する」
橋本が全体指導をするシーンから、久美子が風邪の兆候を見せ始める場面は「そこに兆しは存在する」でした。
この曲の「兆し」って風邪の事だったのかな……(そんなばかな)
橋本が
「辛気臭い」
「面白くなさそう」
と合奏の音を評します。
あすかの不在による不安が部全体に蔓延してる様子が演奏に出ているのだと思います。
気持ちやコンディションは音に表れる、と言いますからね。
「コンクールってあんまり好きじゃない」
「一生懸命やってれば金でも銀でもいいと思ってる」
など、橋本の人柄が垣間見えるセリフも私はとても好きです。
そして久美子が熱を出し帰宅する流れへと場面をつなぎます。
麗奈と久美子が聞く「北宇治四重奏第一番 ユーフォニアム」
久美子がCDを麗奈と部屋で聞くシーンです。CDの曲は「北宇治四重奏 第1番 ユーフォニアム」。
あすかの父親についての伏線も張られます。
1期キャラソンのカップリング曲じゃん!(笑)というツッコミが。劇中に出てきた事に驚きがありました。
直前の回想のシーンにもあるように、久美子がユーフォを始めたての時に先生から渡されたCDの曲がこれです。
久美子は夢の中、麻美子に憧れて楽器を始めた頃の事を思い出していたのでしょうか。
この「北宇治四重奏 第1番 ユーフォニアム」のCDを聴くシーンが個人的に好きです。
少し振り返ってみます。
まず、最初寝ていた久美子が目覚めてからCDをかける前までの間、とても静かでゆったりした時間が流れているのが良いですね。
ちゃっかり部屋で待機してた麗奈の正妻感は少し笑いました。
この静かな空間には、劇伴音楽も必要なさそうです。
その静かな空間にCDがかかると、染み入るようなユーフォやトランペットなど金管楽器の音が流れ、しばらく久美子と麗奈は無言で聞き入ります。
そこにはCDの音楽だけが流れ、セリフもできるだけ最小限に抑えられているように思います。
見ている我々視聴者までもが、純粋に音楽に耳を傾けられる時間です。
だからこそ、その後に麻美子が部屋に入ってくる時の少し乱暴なドアの音が、異物感を放っています。
我々が「北宇治四重奏第一番」に耳を傾けていればいるほど、このドアの音を邪魔だと感じます。
それまでのユーフォやトランペットの音が包み込むような感じなら、対してこのドアの音は攻撃的に聞こえました。
同じドアの音でも、この少し前に母親がドアを閉めて出て行くシーンがありましたが、その時はこんなに攻撃的な音はしませんでした。
このような、久美子が起きてからから麻美子が入ってくるまでの間の、音による部屋の雰囲気作りが個人的に好きなシーンです。
特に、音楽(北宇治四重奏)と効果音(ドアの開閉)の性格の違いがとても面白いと思います。
どこまで本当に狙ってやってるかはわかりませんが…。
なんにせよ、音楽を題材にしたアニメとしての魅力が光るシーンの一つだと思います。
アニメだという事を忘れて、ついCDの音に聞き入ってしまいます。
それにしても、トランペットの他は全て低音(ユーフォ、テューバ、コンバス)ってすごい編成の曲ですね…
でも、低音だからこそ包み込む優しい感じが出せるんでしょうね。
麻美子の回想と「郷愁から芽吹くもの」
麻美子が昔を回想するシーンから、あすかの代わりに夏紀がコンクールに出る可能性を告げられるまでに、「郷愁から芽吹くもの」が使われました。
物語の終わりに、複数のシーンをまたぐように劇伴を流して「そして次の曲が始まるのです」へと繋げる方法は、響け!ユーフォニアムのアニメでよく使われているように思います。
なんとなく収まりがいい感じがしますね。
今回、この曲の半分は麻美子の回想シーンに割かれていました。
今回の回想は、麻美子の目線で行われました。
幼い久美子が自分に対してどんな気持ちを抱いていたのか。麻美子がそれを思い出そうとします。
今回ばかりは秀一ナイスアシストですね。
秀一が「久美子が麻美子に憧れて楽器を始めた」事を麻美子に話したからこそ、最終的に全国大会で聞きに来てもらえる所にも繋がりますからね。
もっと言えば、秀一のこのアシストがなければ、今後の展開で久美子があすかを説得する事ができたかどうか、怪しいかもしれません。
そして、“自分に憧れて楽器を始めた”久美子の演奏を聞こうと、麻美子が深夜久美子の部屋を訪れます。
関西大会のCDを借りるために久美子の部屋へ入るこの時のドアの音は、「北宇治四重奏第一番」のCDを止めにくる時のドアの音よりも、もっと物腰柔らかな音になっている気がします。
まあ深夜だから当然っちゃ当然ですけど…
"CD"に対して抱く麻美子の気持ちが、ドアの音とリンクしている、とも捉えられます。
この記事を書きながら北宇治四重奏第一番を改めてじっくり聞いていたら、かなり好きな曲になりました。
テンポはゆったりですけど、とてもかっこいい曲ですよね。
そして、次の記事が始まるのです。 -> 第9話、第10話はこちらから
TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』オリジナルサウンドトラック「おんがくエンドレス」
- アーティスト: 松田彬人,北宇治高校吹奏楽部
- 出版社/メーカー: ランティス
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